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中国の企業会計はおこづかい帳レベル? 中小企業の中国子会社の悩み その1 August 22, 2013 (Thu)

「若」の切実な悩み

中小企業の中国進出でよくあるのが、現地法人・工場設立後、本社次期社長である御曹司(通称「若」)が定期的に出向いて現地法人を管理・チェックするという体制です。「若」は大概、現地従業員との中国語でのコミュニケーションは不可、よって日本語要員に多大な権限を与えがちです。こういった、普段は中国人に経営を任せているというパターンの会社にありがちな問題の一つが人事労務関係、もう一つが経理です。そして、厄介なことに、両者はたいてい連動しています。

会計・税務の根本的な違いは日本の会計事務所では対応不可能

ど~も内部経理にごまかしがあるのではないか?と嗅ぎつけた「若」、現地会計事務所が作成した一連の会計資料を日本に持ち帰り分析を試みます。けれども、いくら緻密に分析しても、それをもって問題の抜本的解決を図ることにはつながらないでしょう。なぜか?

一つは、中国と日本の根本的な会計システムの違いにあります。パッと見た目は、中国の会計制度も日本とよく似た勘定科目が並び、な~んだ、日本とほとんど同じじゃないか! と感動さえします。

現金主義・発票主義の壁

ところが、中国の会計は「発票(ファーピアオ: 税務当局謹製の正式な領収書)」主義。これがなければ一切経費になりませんし、会計事務所では、ファーピアオのない費用については記帳さえしてくれません。つまり、納税申告のための公式会計では、このファーピアオにのみ基づいた損益計算書が作成され、ファーピアのない出費(そのへんで合鍵を作った、文房具を買った、中国コンビニで買物した、大衆食堂でみんなで食事会した→こういったお店ではファーピアオを出していません)は闇に葬られてしまうというわけです。

日本でしたら、損金にならないものは、貸借対照表と合わせようとすると、社長個人への貸付金にしたり、一時的に仮払金等で処理することになります。けれども、中国では、現金がどうなったかはおかまいなし、帳簿と有高の違いはどーでもいいのです。中国の会計は、いわば経費だけつける「白色申告」のノリ。「青色申告」ではありません。けれども、それでは命より大事なメンツが立たないので、つじつまあわせの貸借対照表つけてみたり、それらしい勘定科目を並べているといったところでしょう。

つづく