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本稿は、中国出身のコンサルタントの方が書いた「なぜ中国ではマクドナルドよりケンタッキーのほうが多いのか」との記事に触発(?)されて書いています。その記事では、マクドナルドよりケンタッキーが多い理由を、「マクドナルドはアメリカ式の味を堅持」したのに対し、「ケンタッキーは中国風のファストフードの開発、提供」を行ったところにあると論じています。
日本では、総店舗数(FC含む)においてマクドナルド3000店:ケンタッキー1000店、連結売上高(FC除く)においてマクドナルド2500億円:ケンタッキー800億円と(このところのマクドナルドは不振にせよ)マクドナルドの圧勝ですが、中国においては、マクドナルド2100店:ケンタッキー4600店とその立場は逆転しています。
紹興のような地方都市では、マクドナルド5店舗:ケンタッキー25店舗、どこにでもあるケンタッキー、探さないと見つからないマクドナルド(2014年)。マクドナルド密度はスターバックスと同程度というのが実感。
「ケンタッキー大繁盛の理由? う~ん、それだけかなぁ~」と本稿の筆者は、身の丈に合わせて分析してみます。
北京の王さんの家、訪問すると餃子(餃子はハレの日の料理)と共に鶏骨付き肉の料理でもてなされます。手羽先の煮込みだったり、鶏丸ごとの燻製を切り分けたものが、お客をもてなす「ごちそう」です。
中華料理の「白切鶏」とか「口水鶏」といった鶏料理も骨付き鶏を丸ごと使うのが本来。レストランで中国女子が鶏の足(モミジ)をうれしそうにほおばる姿(日本では絶対にない)は、食文化の違いを感じさせます。
マクドナルドにしろケンタッキーしろ、その価格は中国の物価からは割高な部類に入ります。進出当初~2000年代は特にそうでしょう。それにも関わらず、骨付きのフライドチキンがちょっと高価なごちそうとして受けとめられ、受け入れられたことには、「中国人は骨付き鶏肉(まるごと鶏肉)が大好き」という素地があったのです。
マクドナルドが、もし同じように味を現地化したとしても、ハンバーガーは「ごちそう」という意味で骨付き鶏肉には勝ち目はないのかもしれません。おそらく、ハンバーガーは子どもや若者の食べるもの、と受け止められていると思います。いずれにしても、ケンタッキーのほうが幅広い年齢層に受け入れられているのです。
日本で、人口10万人あたりのケンタッキーフライドチキンの店舗数1位の県をご存知でしょうか。それは沖縄県で、人口10万人あたりの店舗数は、最下位の県の4倍、全国平均の1.5倍あります。ご存知、沖縄県は日本文化圏と中国文化圏との交差点にあって、伝統的肉食文化を持っています。沖縄の肉食といえば「豚」ですが、てびち(豚足)、三枚肉(皮付バラ肉)、ソーキ(骨付きあばら)など骨や皮が付いたままの料理が多いのも特徴。
骨・皮の付いたフライドチキンも口に合うのでしょう。沖縄ではおじい、おばあもケンタッキーが好き(客層が広い)。沖縄の例は、ファーストフードといえども、伝統的食文化を無視できないという実証ともいえます。
ケンタッキーが偉い(?)のは、フライドチキンが受け入れられる環境にあぐらをかかずに、経営の現地化とメニューの中華化に励んだところ。メニューの現地化が、さらに客層を広げ店舗数を増やすという好循環を生んだのでしょう。日本人的には、ケンタッキーで「定食」や「おかゆ」があることに違和感ありまくりですが。