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勇気百倍・元気の出るWEBLOG
昨年の7月のこと、ウチの面々は黒龍江省ハルピンから160キロの木蘭県にて業務に当たっていました。集まったのは、武闘派ウィリー(北京現地法人スタッフ)、一番番頭(共同経営者)、加藤の三名。
メンバーのお気に入り食堂は角の「餃子大王」。その晩も楽しく夕食にありついていたところ、ウィリーが「ナントカガカントカアルヨ」と言っています(注: ウィリーは中国語オンリー)。なんだこいつ?なに言ってんだ?すると、ウィリーは魚釣りのポーズをしてみせます。「あ~、釣魚島(日本では尖閣諸島もしくは魚釣島ですが、中国では動詞が先なのでこうなります)のこと言ってんのね。発音が悪いよ、ウィリー」
「釣魚島は中国のものだよ」と主張するウィリー。「うんにゃ、日本固有のものだよ。こんなに国土広いのに欲張りだね。まーだほしいんだ?」と日本組。「だって、あそこには資源がたくさんあるんだよ」「だからなに?資源があるから急にほしくなったんでしょーが?」と切り返す加藤。
「あそこはね、結論が出ないから、昔、鄧小平が、『いい智慧が出るまでこの問題は棚上げにしておこう、未来の智慧に託す』って言ったんだよ」お~、さすがは一番番頭(拍手)!「だってさ。だから、ま、日中双方でなかよく管理すればいいじゃない?順番にとか」ウィリーをおちょくる加藤。正論に弱い中国人、自国国家主席の「棚上げ論」を持ち出されては反論できません。「それにっ、日本のお客さんの前でこの話はダメだからね。ウチは一応、日系ってことになってるんだから」とトドメを刺されてあっけなく撃沈したウィリー。
昨年8月の香港活動家の上陸事件からつづく9月の反日暴動を前にして、すでに尖閣論争?が勃発していたわが社。呆れてしまいますが、中国人は、こんなふうに、突然、しかも内々での楽しい食事の席でこういった歴史問題を吹っかけてきます。けれども、悪気はありません。話のネタのひとつです。そもそも、ほぼすべての中国人が尖閣は中国のものだと信じています。ですから、価値観の違いと受け止め、感情的になってはいけません。「ありゃ、そーなの?」と涼しい顔して、こちらはこちらの意見をパシッと言いつつ、適当なところで茶化して丸く収めて、また楽しく食事を続ければいいだけです。そのあたり、中国人はあっさりとしたもので、しこりなど残りません。
最近は、中国も再び「棚上げ論」を持ち出していますね。政権交代後の日本は、決して引かず、譲らず、同時に刺激もせず、冷静に粘り強く対処してきました。中国は、今の日本(と米国)が手強いと感じて、いつ利益になるかわからない小島よりも傾き始めた経済重視だと、強硬策はとりあえず引っ込めたのでしょう。