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新幹線と中国高速鉄道に「優劣の差」は存在するのか=中国報道 January 23, 2017 (Mon)

2017年1月18日付「Serchina」では、「新幹線と中国高速鉄道に「優劣の差」は存在するのか=中国報道」と題して、中国メディアの捜狐の記事を紹介しています。中国の高速鉄道の総延長はわずか9年で1万6千キロに及び世界第一位であること、日本の新幹線とは細かいサービスの違いはあっても技術上の優劣はないことを主張しています。

日本人からすると、技術の低さを原因とする自主開発断念の後、高速鉄道の技術を各国から「パクった」(技術供与とも言う)のだから同等で当たり前、何をかいわんや、というところですが。

ちょうど今は、春節の中華民族大移動の時期、北京や上海から遠方の地へは以前なら数日要していた帰省が、高鉄と火車(汽車: 在来線)を乗り継いで1日で故郷に帰れることができるようになったとも聞きます。10年余りで高速鉄道網を張り巡らした恩恵はとても大きいと思います。

出張時の移動も便利になりました。上海浦東空港に午後3時に着いても、その日に南京や寧波での投宿が可能です。本当に便利に使わせてもらっている中国高鉄ですが、使いづらい点も沢山あります。

中国高速鉄道の欠点

  1. 地方の高速鉄道駅は、従来の火車駅(在来線の駅)とは違う場所かつ市街地から離れた絶望的郊外にあることが多い。市街地から20km離れているところもある。よって市街地と高速鉄道駅のアクセスが極めて悪い。新幹線の東京駅が埼玉県にあるようなもの。
  2. 駅(ターミナル)が無駄に巨大で歩くのが疲れる。「こんな大きいの設計した奴は馬鹿なの?」と歩いていて思うこともしばしば。ちゃらんぽらんで効果なさそうなセキュリティチェックも煩わしく時間を浪費する。山手線からサクッとで新幹線に乗車できる日本のシステムが圧倒的に便利。
  3. 高速動車(G: 日本でいうとのぞみ)動車(D: ひかり・こだま)の違いで停車駅が異なるのは良いとして、高速動車(G)でも便によって停車駅がランダム。乗り換え、乗り継ぎという発想がない。ここまで「のぞみ」でここからは「こだま」で的な利用法は基本的に困難、できても一旦改札を出てセキュリティチェックを受けてと、二度手間になる。在来線との連絡は選択肢にない(高鉄駅と火車駅は場所が違うのがほとんど)。
  4. 完全指定席(立席は有)。人民を待たせる・並ばせる悪癖(だから大きな待合室が必要)。発車する便にどんどん乗せようという思考回路がない。自由席のある新幹線の気軽さ。

中国高速鉄道は羽のもげた飛行機

基本的に指定便しか乗れないこと、駅(ターミナル)が馬鹿でかいこと、大きな待合室、乗車案内があるまで待たせること、乗り継ぎが航空便と同じく面倒であること。おそらく、中国の高速鉄道のシステムやサービスを考えた人の頭にあったのは、空港や航空機のイメージなのでしょう。

日本の新幹線は、その利用形態は在来線と変わりません。速度が300kmになった山手線という感じです。日本の新幹線と中国の高速鉄道、どちらが便利か? どちらのシステムが優れているか?

「新幹線と中国高速鉄道に「優劣の差」は存在するのか?」という問いかけは50年早いかもしれません。記事を否定してすみませんね、「Serchina」さん。