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「チャイニーズ・ドリーム -大衆資本主義が世界を変える」(丸川知雄著: ちくま新書)。
新聞の紹介文によりますと、中国経済を専門とする東大教授の著者は、中国経済のダイナミズムを生み出す真の主体、成長の原動力は民間企業だと主張、大衆がわずかな資本で次々に会社を創業し、資本家にのし上がる状況を「大衆資本主義」と定義。現況を「多産多死」と指摘し、中国大衆資本主義の将来を楽観視はしていないものの、一方で、日本は、中国との取引を避けると、中国経済の最も躍動的な部分を逃すとして、交流の必要性を強調、中国人の起業家精神は見習うべきものがある、というのがその骨子のようです。
北京のCBD(商務中心区)を管轄する朝陽区の工商局(北京市工商行政管理局朝陽分局)、日本でいうところの法務局。仕事柄しょっちゅう出入りするのですが、いつ行っても人民でごった返しています。中には、登記代行を業務とする会社(登記会社、会計記帳会社、コンサル会社、投資顧問会社など)の社員もいるでしょうが、多くは一般の人だと思われます。
中国では、会社社員であっても服装は超カジュアル、A4の入るちゃんとしたカバンなんて持たず、書類保存袋や粗末なビニール製クリアファイルなどに書類を入れて持ち歩いていますので、外見からは素人との区別はつきにくいのですが、その目つき、その物腰、その覇気からして、おそらく、申請や相談に来ているのは老板(ラオパン: 社長、経営者)本人。どこから見ても社長には見えないフツーの庶民ばかりです。
日本人は、学生時代はハメはずしまくりでも、就職となると、途端に超安定志向。ここ2年ほど大学進学率が落ちたのは、より安定をめざして専門学校への進学が増えたからだそうです。「将来の夢は社長!」なんて吠える若者は絶滅種に近いでしょう。けれども、中国人は違います。もちろん、中国でも通常の就職をめざす学生が多くを占めるでしょうが、学生時代から起業する人も多数、上をめざしての転職は当たり前。それに、学歴なんてなくったって、田舎の出だって、とにかく、庶民がわんさか起業します。
CBDの象徴ともいえる建外SOHO(20棟からなる商業・オフィス・住居の高層ビル郡)では、見ていますと、3ヶ月サイクルでテナントが入れ替わります。中には1ヶ月ということも。数年もてば奇跡かも。ちょっとしたスペースを利用して、ありとあらゆる商売を始めては潰れたり、夜逃げしたり・・・まさに「多産多死」。それでも、たくましい人民たちはいっこうにメゲる様子もありません。
中国人って、モノを買うのも好きですが、売るのも大好きです。消費欲(物欲)と商売欲。これこそが人民を構成する二大要素、4000年脈々と受け継がれてきたDNAであって、中国人の最終的な夢は、13.4億総「老板」といっても過言ではないでしょう。市場獲得、企業の発展をめざすならば、中国経済のダイナミズムを取り込まないのはやっぱり損ですし、老板狙うなら中国で・・・なんていかがでしょうか?